オンキョーとパイオニアの合併

オンキョーとパイオニア。かつての名門パイオニアが、遂にオン
キョーの軍門に下る日がこようとは…。1980年代・90年代の
オーディオコンポーネントの爛熟時代を知っている者から見れ
ば、正に驚きの絵図ですね。パイオニアは名前の如く、各分野
で開拓者であり続けましたが、パーツ工場を持たないアッセン
ブリーメーカーの高コスト体質から、最後まで脱却することが出
来ませんでした。

開拓者であると同時に、あまりに凝った造りを盛り込もうとする
思想のために、却って製品のユーザーフレンドリーな部分が薄
れてしまい、結果ユーザー離れを引き起こしてしまったようです。
典型的だったのが、高級CDプレイヤーでのディスクのセット方
法でしょう。

ほとんどのCDプレーヤーは、CDのラベル面を見ることが出来る
向きにセットすれば良いのですが、パイオニアは音質面での有
利さを追求するあまり、CDのラベル面が下になるようにセットす
る形態を選択してしまいました。これによって得られる音質面で
のメリットは、確かにスペックには表れていましたが、それとて各
メーカーの様々なアプローチの前には、微々たる差でしかなく、
ハンドリング面でのほんの少しの煩わしさのために、ユーザーか
らそっぽを向かれてしまったのです。

こうした拘りが一番強く出たのが、レーザーディスクの開発でしょ
う。かなり早くから試作品を発表して、この調子ならこの綺麗な画
像を早々に売り出すのではないかとの推測をよそに、一向に市
場に投入しませんでした。そのうちに、ライバルメーカーが、VHD
方式(ビクター)とかAHD(ヤマハ)で何やら騒がしくなってきて、よ
うやく発売しましたが、時すでに遅しで、先行者利益を上げる前
に、フルデジタルでトリックプレイでは他の追随を許さないDVD
規格が登場し、膨大な開発費を投じたレーザーディスクは、カラ
オケ用途に細々と残るのみとなってしまったのです。

そこへ、更に追い打ちをかけたのが、プラズマテレビ事業でしょ
う。これも、パイオニアは全力で挑み続け、会社の体力がどんど
んと弱体化する中、起死回生の切り札として市場投入をしたの
ですが、あまりに商品性にたいしての価格が高過ぎ、次第に高
コントラスト化で追いついてきた液晶陣営に画質面でもキャッチ
アップされ、もはやギブアップとなり、国内で唯一プラズマで頑
張っていた松下(現パナソニック)に、技術員まるごと事業自体を
売り払う自体に陥ってしまいました。

そして、財務体質が回復しないまま、今回のパイオニア創業時
からの核となったオーディオ事業が、事実上売り払われたこと
になったのです。全く以って残念な出来事です。当面は、ブラン
ド名は維持するようですが、あの不朽の名作ヘッドフォン、モニ
ター10の系譜は甦るのでしょうか。

正に、昔日の感漂う合併です。


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