高齋正の小説 ニッサンがルマンを制覇する時 その2

「ニッサンがルマンを制覇する時」は、ヒューマンドキュメント的テイスト
を併せ持ったストーリー展開が、魅力なんです。レースと言えば、スプ
リントのF-1がすぐに頭に浮かんでしまいますが、24時間レースともな
れば、複数のドライバーが交代で一台の車をドライブするし、クローズド
ボディで空力を考慮した車体は、ルマンの開催時期を考えれば、人間
が正常な思考を保持するにはあまりにも過酷な温度と湿度になってし
まいます。

この「日産が…」に登場するR384は、なんと自動変速機構を搭載して
いるのです。これだけでも、十分にドライバーの疲れは軽減されますが、
更に、急ブレーキ時のアンチスキッドブレーキシステムを備え、もっと驚
く事には、エアコンまで備えているのです。
こんなドライバーに優しいレース車両が有るでしょうか。

レース用車両は、極限まで贅肉を削げ落すことが常識ですが、その前
提を覆して、こんな贅沢な仕様にするのは?と選抜されたドライバーが
訝るのですが、それは高齋流の合理的な説明がしっかりと用意されて
おり、しかも、それを実証するための高機能な装備を働かせないで走行
させるシーンと登場させるなど、読者サービスに余念が有りません。

シリーズが続いてきたことで、作者にも余裕が出てきたのか、なかなか
にウィットに富んだフレーズが飛び出します。
ルマンの車検場のシーン、すべての装備がさらけ出された後の地元の
記者が、「こんな贅沢な装備…」と突っ込みを入れると、「ニッサンは、
早く走れる装備なら何でもつけますよ。必要なら、ホットシートでもね。」
と受け流すんです。

言うまでもなくホットシートとは、電気椅子のことです。
なかなか、小憎らしい表現ではありませんか。
さて、次回は、思わぬ波乱に対応せねばならない監督兼ドライバーの
奮闘と、参加したドライバーの遭遇したアクシデントなどに触れます。

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