巨星、小松左京氏逝く

「日本沈没」で「復活の日」で、出版界に多大な影響を及ぼし続けた
日本SF界の重鎮:小松左京氏が他界されました。享年、80歳。
頭の回転が良すぎるがゆえに、口がついていかない、その典型的
な作家でした。しかも、東日本大震災を予見するがごとき、プレート
テクトニクスの予想を超えるふるまいを、日本沈没の中で、実際に
発生させています。

SF作家としての必要な条件として、近未来の事象をどの程度予見
できるかは、小松左京氏にとっては、低いハードルだったようです。
プレート間をまたがる地震は起きないと言われていた時代に、小説
とはいえ、正面切って発表することは、かなり勇気がいる行為だと
思いますが、それをやってのけ、大ベストセラーになり、二度も映画化
され、そして、現実にもそれが起きてしまう。

作家にとって、予測が的中することは、冥利に尽きると同時に、警告を
発しながらも、それに対抗すべき手段や施策に結び付けられない思い
は、忸怩たるものが有ったのではないかと思います。

氏の短編に、「アメリカの壁」があります。
SFマガジンに掲載された中編ですが、たとえとしての「壁」ではなく、
実際に太平洋のど真ん中に、相互不可侵のエネルギー壁が立ちはだか
るというのが、メインモチーフです。あり得ないと言下に否定されてしまう
ような内容ですが、これももし予測通りだったとしたら・・・。

作家の実力が、あまねく知れ渡っていればこその実験小説ですが、この
ような作品をポットでの作家が書いて発表することは、不可能でしょう。
小松左京氏の大きさを改めて振り返りつつ合掌。

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