私の中で蘇った作家 今野敏

今野敏と言ったら、何といってもデビュー作の「超能力セッション走る ハイパー・サイキック・カルテット1~4」は、初期の代表作で、誠に見事な構成であり、様々な知識が詰め込まれた逸品でした。ジャズと拳法とお茶の要素を練りこんだ小説群が、初期の今野敏の作品の特徴でした。この頃は、「おぉ~、なかなか!」と唸らせる作家が現れたものだと次作を待ちきれない程ファンになったものでした。しかし、ほどなくして、暗~い作風になっていき、私の興味は薄れていきました。

たまに、手に取ってみても、警察内部の暗さばかり強調されたシリーズが続き、私の興味の範囲に入ってきませんでした。その少し前まで、作家自らが参加したネット(今のようなオープンなものではなく、クローズドに近いネット)上で、直接メールを交わしたことも有りました。

しかし、そこから約15年は、作家として世に名前は広がっていき、テレビドラマにも作品が取り上げられるなどしましたが、初期の心が湧きたつような新しい小説の世界を提供して貰えずにいました。

それでもなんだかんだ50冊近くは彼の作品を買ってはいましたが、ハードカバーで出版された「イコン」で、ついに私の興味はまったくゼロになってしまいました。オチが何ともなんて、作家から見れば産みの苦しみを味わいながら、捻り出したものだったのでしょうが、読者は残酷なもので、全くという表現を使いたいほど、がっかりしたものです。

ただ、これは純粋に読者である私の感想であって、世間的にはいろいろと認められている時期でもあります。そして、作家デビュー40周年となった昨年、文庫で再発された「内閣特命班 徒手捜査」を今年手にしました。

そこには、デビュー時の拳法中心の作風でありながら、それまでに培ってきた様々警察・公安との組織の知識をまぶした秀逸な作品が現れていました。これなら、楽しんで読める!純文学分野ではなく、エンターティメント分野なのですから、この作品くらいのバランスがちょうど良いのです。

私の好きだった今野敏が戻ってきました。

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