大いなる妄想 シリーズ1

大いなる妄想 それは、もし自分がこうだったら とか こんなことができたら とだれしもが思う事を、架空ながら実現してしまおうという心の実験室です。
第一回目は、「通り抜け」です。

物理学の研究に没頭しているときに、それは起きた。
私の専門は、高エネルギーの高周波を使って、分子間の構造を解析する仕事だ。
高エネルギーを使用するので、自己防御は勿論のこと、実験棟の外部への漏れをシャットアウトすることは、実験を行う上での大前提なので、毎回非常に厳しいチェックをしてから、毎日の課題に取りかかるのだが、今の課題は今までの規模の倍の実験を行うため、何か事故が起きたときのハザードマップつくりから作業に取り掛かることになった。

その地味でつまらない作業を進めている工程でそれは起こった。
実につまらないチェックミスで、何と私の防護服内に高エネルギー輻射ケーブルを引きんでしまい、それと知らずに通常の実験を始めてしまったのだ。

体が異変を感じたときはもう体組織の中に高周波が深く入り込んでいたため、意識はあっても体は何の自発的な動きができない状態になってしまっていた。
じりじりと体が細かく振動しているのが感知できる。
こうした考えができるということは、脳は影響を被っているのかも知れないが、破壊されていないということだ。

どのくらいその異常な環境に晒されていたのか定かではないが、ようやく、異変に気付いたメンバーが、高周波を切断した。その瞬間とんでもないことがおきた。
私の体が溶けるように防護服をすりぬけて、床も通り抜けて、一階下の部屋に天井から出現したのだ。

天井から徐々に現れてくる私を見たものは、当然ながら、驚き叫んだ。
生身の人間が、物質通り抜けをした瞬間であった。通り抜けるときのあの表現のしようがない浮遊感を感じさせる不思議な感覚。

続く

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