麦踏みと矢じり

黒曜石の輝きに魅せられて、………なんて書きだすと、ロマンの香り
が漂いそうなものですが、これはもっと現実的な話です。 高校の二年
の秋、歴史の先生が一言。「この高校から少し東に行ったところは、
歴史的にも珍しい史跡が有って、中央高速のインターチェンジ工事の
時には、縄文式の住居跡の上に、弥生式住居の跡が見つかるといった
発見が………中略……なので、今でも矢じりが出土します。」

この「矢じり」に私は反応しました。
黒曜石という言葉に、怪しい光のイメージを見たからなのですが、何故
怪しい光と思ったのか、理由は分かりません。
手に入れてみたいと思い、「先生、どこで取れるんですか。」と詳しい場
所を聞き出しました。

その時、先生から言葉は、意外なものでした。
XXXXXの畑辺りから、矢じりが採取されるようだが、と言ってから少し間
をおいて、「イイか、畑に入るときには、持ち主に断って入るのは勿論だが、
畑を荒らしてはいけないのは勿論、今は丁度麦踏みの季節なので、「麦
踏みをしますので、矢じりを探したい」と言ってご覧。」

場所は明記できませんが、東京・八王子の中心街から徒歩で35分ほど
歩いた「切り通し」と呼ばれている辺り一帯の畑がターゲットの場所でした。
お断りしてから畑に入る………お百姓さんそのものが畑に見当たりませ
ん。散々、歩き回った後、やっとひとり作業中の方を見つけ、畑に入る理
由と麦踏みもしながらと言ったら、当然、「麦踏みしたことあるんか?」と
顔をぬっと突き出してきました。

実際のところ、農作業そのものについては、全くの素人ですから、素直に
「(麦踏みしたことは)ありません。」と答えるしかありません。
すると、教えてやるから畑に行こうと、連れ出されました。
「麦は、上手に踏んであげると、実の入りが良くなるんだよ。ソレッ、こうだ」

見よう見まねで、恐る恐る麦を踏んでみると、「いいぞ、それで、この畝を崩
さないように、ゆっくりと一株ずつ踏んでいってくれれば良いから。」
コツなんてないのかと思っていたら、それは大間違いで、………。

何とか、「ウンウンそれで良いよ。」とお墨付きをもらって、麦踏み開始。
開始してなんと5分も経たないうちに、ガラス状の親指の爪に二倍くらいの大
きさの破片が目に入りました。
これは、矢じりのカケラか?と思いながら周りに気を付けながらさらに麦を踏
み続けました。

結果的に、大小混ぜて5~6個の破片を拾うことできました。
後から、ラッキーだったと思ったのは、畑の一面を踏み終わった頃には辺り
はもう暗くなっていたのですが、最初に拾ったあたり以外には、破片は全くな
かったのです。つまり、滑り出しで、成果は全部上げ終っていたんですね。

持ち主が「もう暗くなってきたから、お帰り。これだけやって貰ったので、大助
かりだよ。」と声をかけてきました。
正直なところ、いつまでやれば良いのか見当がつかなかったので、助け舟を
出して貰ったような感じです。

お礼を言って、帰った翌日、先生にその顛末を話して破片を見せたところ、
「間違いなく、黒曜石の矢じりの一部」を確認してくださり、授業の冒頭でこの
ことに触れ、「私の言った通りに、持ち主にお断りを……中略……矢じりを
拾えた……感謝もされて……。」と、えらく持ち上げられてしまいました。
これまでになく、褒められる時間を長いと思ったことは有りませんでしたが、い
ま思えば、高校時代の良い思い出です。

何となく、甘酸っぱい香りのする思い出話?です。

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