灼熱の走路 vs 激走のサーキット

「灼熱の走路」は菅谷充、「激走のサーキット」は高齋正の作品で、
両者ともに大のレース好きを自認するだけあって、前者はインディー
カー、後者はF-1(F3000も)が疾駆するカーレース小説の傑作です。

この二作品をどうして同時に取り上げたか、それは、読んでいただけ
ればすぐ分かることです。
どちらも、日本で台頭しつつあった有望ドライバーが、トラブルやアク
シデントのために、日本でのレース活動が出来なくなり、海外に渡っ
た先で活躍し、頂点を得るというサクセスストーリーです。

舞台の設定は異なりますが、話の進行は驚くほどに似通っています。
どちらも、主人公が優れたドライビング能力を開花させ、海外のレー
スで大活躍する場面で終わりますから、ざっと読むと「もしかして・?」
と疑問が湧くかもしれません。

しかし、菅谷氏自身のあとがきを読むと、その疑念はきれいさっぱり払
拭されます。
その言葉に書かれた高齋正氏への感謝の念は、深い所から湧き上っ
てくるものが有るように感じます。その念は、尊敬の域に達しています。

実際のレースと実在のドライバー・コンストラクターが舞台のお膳立てに
使われ、主人公の乗る車のエンジンまで、現実に存在する自動車メー
カーのものが登場してきますので、全く違和感を感じることなく、本を読
み進めることが出来ますし、常に向上しようとする気持ちと、それに立ち
はだかる壁を、如何に突破していくかの挑戦する姿が、清々しく描写され
ていますので、読後感がとてもさわやかです。

面白いのは、高齋正は色恋をレースの世界に当初は持ち込まずに書い
ていました。ところが、後にソープランドがスポンサーになって、プロのそ
の方面の女性が、ドライバーの生気を削ぐなどと言うかなり大胆な設定
の小説を発表しています。
かたや菅谷充は、男女間に流れる微妙な感覚の差やそれを超越する行
為を、さらっとしかも鮮烈に挿入して、物語の進行上に大切なアクセントを
加える手法を取っていることです。

ストイックばかりでは済まないこの世界を、精密に活写したのはどちらなの
でしょう?
どちらにも共通するもう1つのポイント、それは、最後まで一気に読了させら
れてしまうスト-りー展開の美味さです。いわゆる、興奮状態になって、読む
速度がいや増していきます。
電車に乗って読んでいたら、降りる駅が……なんてことが本当に起きてしま
いました。それくらい面白い小説です。

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