高齋正の小説 ニッサンがルマンを制覇する時

「ホンダがレースに復帰する時」で、カーレース小説の新たな地平線を
切り開いた高齋正は、続く「ロータリーがインディに吼える時」で早くも、
このジャンルを定着させました。そして、第三作目にあたる「ニッサンが
ルマンを制覇する時」では、題名に最初から「制覇する」の文字を組み
込む大胆な手法にチャレンジしました。

結末が分かっている小説は、何が魅力になりえるかの実験の場でもあ
ります。しかし、案ずることは無かったのです。
何しろ、仕掛けがいっぱいあり、今作に関しては、作者のウキウキする
ような気持ちが伝わってきたように感じたのは、私だけでしょうか。

冒頭からして、興味深いのです。
ルマンのコースを超スローな速度で移動しながら写真撮影している車両
が登場します。なんとこれは、日産の工場の敷地内に、ルマン・サルテ
サーキットを再現させてしまおうというプロジェクトの一部だったのです。

レース活動を再開するに当たり、野に埋もれている才能あるドライバーを
発掘する部分では、心理学者のサジェッションを得て、返信用封筒の書
き方で、ドライバーとしての基本的な資質を選抜するという、ユニークな
アイデアが登場します。

さらに、書類選考に通ったドライバーたちが、サニーのレース仕様を駆って、
実際にサーキットを走る選抜試験でも、車の走行ラインやシフトアップやダ
ウンについても詳しく言及し、更には、ヒールアンドトーとかダブルクラッチ
とかのレース用のテクニックにまで、筆者の筆は滑らかに走り続けます。

24時間レースならではの状況設定として、レース車両にあるまじき装備を
実は必然として捉える話の展開は、ストーリーテラーの面目躍如です。

次回は、「レース車両にあるまじき装備」の部分から始めます。

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