高齋正の小説 ランサーがモンテを目指す時-その3

高齋正の小説 ランサーがモンテを目指す時 この作品は、書き込み
が凄いんです。240馬力の最高馬力を、270馬力で何時間連続で稼働
させられるか、の命題に対する技術者の熱い思いと、1つ問題を潰すと
新たに発生する問題、それをこつこつと潰していくうちに、いきなりブレ
ークスルーをもたらす新エンジン潤滑油が、三菱のグループ企業から
もたらされます。

こうしたグループとしての繋がりや広がりを、丁寧に拾って文章に挿入
していく技は、かなり綿密な取材をしているのだなと、読みながらも納
得してしまいます。

物語の後半は、完成されたマシーンが、モンテカルロラリーに参戦し、
主人公である等々力誠が、レースを走りぬく展開を、克明にトレースし
ていきます。

彼の天性の雪道に対する運転技術を、実在のラリーの名手であるハ
ンヌ・ミッコラに褒めさせて、本人に自信をつけさせたり、他のドライバ
ーに等々力の実力を知らしめる辺りは、形容詞を連ねての表現よりも
説得力のある技法です。

高齋正の小説の白眉は、実在の人物の人柄を巧みに物語に織り込ん
で、そこから展開する人間模様を活写している部分です。

チーム三菱のエース格ドライバーとしてのコーワンが、安全に振ったド
ライビングを主張したり、いまひとつ迫力のない岩田順三が、チームの
為なら無理なドライビングをすることも、チームの監督たちが全て理解し
た上での妙案として、実は三菱のチームの中では一番ポテンシャルの
ある等々力を使って、上位陣を攪乱させる戦法に出るところから、俄然
読者を強烈に惹きつけ始めます。

ここから、レースのゴールまでは、結末はある程度予想できるような仕
掛けでありながら、等々力の走りに思わず声援を送りたくなるほどの高
揚感を覚えるようになります。
そして、一気呵成に読み終えた後の清涼感が、訪れます。
人によっては、少しばかり涙ぐんでしまうかもしれませんよ。

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