アナログ礼賛

パソコンを筆頭とするデジタル社会において、ことオーディオに関しては、
デジタルは依然としてアナログを駆逐しきることが出来ないでいます。
CDが登場して来た時の音の良さには誰しも驚愕したものでした。年を経
るにつれ、デジタル処理の範囲は多岐に及ぶようになりました。ところが、
最後の部分として、増幅された音が再生されるスピーカーはアナログの
ままです。

さらに言えば、スピーカーを駆動するメインアンプの発生する電圧が、
デジタル処理のために、矩形波の延長になってしまっているがために、
音のクリップ感がどうしても耳に付きます。
皮肉なことに、デジタル化によってもたらされた飛躍的な機器のノイズ
減少によって、アナログが漁夫の利を得た感が有ります。

つまり、より精細な音が再生可能な環境となり、アナログに潜んでいた
スケール感や雰囲気と言ったきわめて捉えにくい情報が、音場として
広がることで、アナログの奥深さが見直されてきたと言えます。

この雰囲気は実は高音部分で醸し出されていて、その周波数帯域の
再生能力によって、音場の広がりは変わってきてしまいます。
実際のところ、20000Hzまで再生したところで、直接音として聞き取
ることは20歳代後半以降の人間には不可能です。

事実、若者にしか聞こえない高い周波数帯域のことをモスキート音と
言って、携帯の着信音をこれに設定すれば、教師には聞こえないので、
堂々とマナーモードを外しているとか…?

実際ダイレクト音で聞き取れるデバイスであるヘッドフォンで、この帯域
を聞かされても全く聞き取れません。
ところが、スピーカーからある程度以上の音量で再生すると、体全体で
雰囲気として伝わってくる音のエネルギーを感知できるのです。
これが「雰囲気」です。

全く以って人間の能力は、不可思議なものだとは思いませんか。
そして、よくできたデジタルシステムをもってしても、この雰囲気の再生
は至難の業なのです。そのため、サンプリング周波数を、4倍とか8倍
とかにする高度な処理を加えていますが、いわゆるレガートではなく、
限りなく細かいスタッカート止まりなのです。

LPレコードというデバイスは、確かに不完全なシロモノで、ダイナミック
レンジは、そんなに頑張っても65dBも出たら、それこそ驚異的です。
CDのそれは、90dBクラスです。
実際のオーケストラのダイナミックレンジは、110dB位はあるそうです。

このコンサート会場での生演奏では、不思議なことを体験する人たちが
沢山います。それは、自身が何らかのオーケストラで使用している楽器
を、演奏できる人たちです。
あの有名なラヴェルのボレロの最後の12小節などは、各楽器が大音量
を競いますが、フルートを練習している人は目の前のフルート演奏に没入
していて、他の楽器の音を聞いていません。

オーボエでも、チェロでもそうです。
これはどうしたことでしょう。自分の楽器しか聞いていない証拠として、演
奏が終了した後の第一声が、「今日のフルートは良かった。」「いや、チュ
ーニングがずれていたのが一人いたぞ。」と、普通人にはおよそ理解でき
ない会話が成立するとこで、こういった人たちの聞き分け能力の一端を知
ることができます。

これはある面極端な例ですが、「聞こえ」に関する不思議な能力が存在する
ことで、いまだアナログが存在価値を失っていないのです。
デジタルがアナログを追い詰めるても、最後のところで足踏みしているんで
すね。 この結末は、いつごろ迎えるんでしょうか?


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