J・P・ホーガン

J・P・ホーガンは、ハードSFの重鎮と言われるほど、力量のある作家
です。特に、『星を継ぐ者』『ガニメデの優しい巨人』『巨人の星』の三部
作は非常に緻密なストーリーで、頭をフル回転させて読む必要が有りま
す。最近になって、この続編が出ました。しかも、上下。

『内なる宇宙』創元SF文庫各740円
文庫としては、少々お高いのがネックですが…。
この作家の特徴は、なにしろ伏線への書き込みの凄さにつきます。
心して読まないといけないというのは、このことなんです。

伏線が多いのは、海外の作品によく見られますが、日本では編集者その
ものが気が短いらしく、この種のスタイルはNGで、もっと即物的なエンタ
ーテイメントを要求する傾向がとても強いので、書き込める作家が少ない
のは、寂しいと思います。

伏線作家の真骨頂は、エンディングに向かってぐいぐいとストーリーに引
っ張り込まれる力をどれだけ発揮できるかにかかっています。
この点で、ホーガンは素晴らしく魅力的な奥の手をいつも用意して、読者
へのサービスを忘れません。
しかも、読後感がとても爽快です。藪だらけの山道を登り続け、途中途中
で休みながら、頂上に登るとそこは・・・と言ったら、想像が付きますよね。
こんな感覚を小説で味わわせてくれるんです。

この小説は、科学的なネタが満載で、これが実現したらまさにユートピアが
出現するのではと思えるほどリアルに表現されています。
この光景を夢想するだけで、楽しくなってしまうこと請け合いです。

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック