高齋正-レーシング小説①

SF作家・高齋正
彼は無類のメカ好きで知られていました。
そして、SF作家でありながら、極めて近未来のカーレース小説を
10冊ほど上梓し、更にはパソコン通信の黎明期に、原稿をワープ
ロで作成して、データ伝送を行うといった、先進的な道具を使用す
る本当の意味での「オタク」でした。

「ホンダがF1に復帰(カムバック)する時」を皮切りに、マツダ・トヨ
タ・ニッサン・三菱・富士重工・ダイハツの各メーカーについて、
いかにも現実にありそうな魅力的な設定の車を登場させて、各種
レースに出場させて、優勝するまでの開発者・メカニック・ドライバ
ーたちの人間模様を克明に活写するシリーズを完成させました。

このシリーズだけは、読み終わってしばらくするとまた読みたくなる
不思議な魅力を持っています。そこまで突っ込むかと思えるほど詳
しいメカの解説・レースの歴史的背景の説明がお仕着せがましくな
くさらりと紹介されていたり、その豊富な知識量に驚かされます。

しかも、世界各地のレースにまつわるエピソードや、土地土地の名
産・カメラの特性・レース写真の基本が語られるなど、さらりとした
文章でありながら、圧倒的な情報量を秘めた小説群です。

このシリーズの次には、ややノンフィクション的色合いの濃いSFの
要素がベースの浪漫を感じさせる頃のクラシックカーや、架空のチ
ームを暴れさせるF3000/F1小説などもリリースしています。

そんなシリーズの中で一貫していること、それは、徹底した取材が
ベースになっていることでしょう。
そのため、今では『老害』と呼ばれている某有名自動車評論家の
言葉表記の誤りや痛烈な批判などが想起されるフレーズが各所に
顔をのぞかせているのは、氏のまじめな性格が、ろくな取材もせず
に評論するあの人に対して警鐘を鳴らさずにはおかれない気持ちの
発露だったのでしょう。

もう古くなってしまった内容もありますが、女性の絡みを一切排した
純粋な男たちの向上心の塊のような小説は、元気を与えてくれる
栄養剤のような静かなエネルギーを感じさせてくれます。


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